組織行動の「まずい!!」学  樋口晴彦著 | 書評 読んでみんさい、この本!

組織行動の「まずい!!」学  樋口晴彦著

樋口 晴彦
組織行動の「まずい!!」学―どうして失敗が繰り返されるのか

 昨日、丸の内丸善内に日経セミナールームで、一度お会いしたことのある樋口晴彦さんの講演会に行ってきました。


 最近出された「組織行動の「まずい!!」学の紹介を兼ねたもので、主に三菱重工の建造中の大型客船「ダイアモンド・プリンセス」の火災事故について語られ、事故の直接の原因となったヒューマン・エラーを生んだ会社の組織行動上の問題点、傾向について語られました。


 そして、同じような問題が、あまねく日本の企業に共通してあることを認識させてくれました。


 最近の不祥事をいろいろ見ていると、共通項がいろいろありませんか。


 例えば、事故や不祥事発生後の「原因究明につとめ、コンプライアンス体制を徹底することにより、再発のなきように万全を期します」という判で押したような謝罪会見。原因究明がうやむやになったまま、「嵐をまつ」いや「ほとぼりが冷めるのを待つ」姿勢。


 樋口さんの実証的な姿勢には感銘を受けましたが、こうした企業に蔓延する傾向は旧帝国陸軍以来変わっていないことを改めて知らされ、「うーん。。。」という気持ちも。複雑です。

 樋口さんの語り口は、組織論、リーダーシップやヒューマンエラーなど、とかく個人的な要因に矮小化されている多くの問題を組織行動の問題として捉えているところに特徴があり、文章、論旨に小気味よさがあります。