作曲家の発想術 著者:青島広志 | 書評 読んでみんさい、この本!

作曲家の発想術 著者:青島広志

青島 広志
作曲家の発想術

 今月も登場、「みのむし」さんからの投稿です。いつもありがとう。


「昨日自宅近くの書店をのぞいたら、クラシック関連の新書ばかりを集めた小コーナーがありました。初版は2年前ですが、最近のクラシックブームにあやかって、出版社が再版し、現在販促活動中のようで、帯には「のだめカンタービレ」のイラストが載っていました。


 著者の青島さんは以前NHK教育テレビで子供向けの音楽番組に出演されていた作曲家です。その時の印象で、ユーモアのセンスがある方だとは思っていましたが、この本もなかなかのものでした。


 内容は、クラシックの作曲家らしく、以下のようにきっちり3部構成となっています。


第1部は、自分の体験を踏まえた「どうしたら作曲家になれるのか」

第2部は、作曲家である自分の視点から分析した「ジャンル別のクラシック名曲案内」

第3部は、簡単な「作曲講座」



 印象に残ったのは、第1部で語られている芸大やクラシック界の金銭や人間関係に絡むドロドロした業界の打ち明け話(かなり実名があり具体的)。そして第3部で語られていた青島さん自身のフリーランス作曲家としての、あまりにも多忙過ぎる日常生活。


 特に後者は、父上のご逝去と仕事のピークが重なったため、霊安室で五線譜に向かい、新幹線のトイレで喪服に着替えて通夜に向かう、という実話が、フリーランスの悲哀を感じさせます。読み始めると止まらなくなってしまい、一気に読み終えた後に「自分も作曲してみたいなー」という気にさせる不思議な本でした。」