書評 読んでみんさい、この本! -12ページ目

明日の記憶 荻原 浩

 「こだくさんさん」あらため「7Kids-Fatherさん」です。

 子供7人、7人ですよ!あと5人で国民栄誉賞。

 日本国民の鏡のような方です。コメントも切実です。

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 現役の広告代理店の営業部長が主人公。娘の結婚式を前に突如として身に起こった若年性アルツハイマー。認めたくないが認めざるを得ない記憶の障害。


 セカンドライフを悠々自適に過ごす夫婦もいれば、この主人公のように自分の将来に不安を抱えながら、限られた時間をいかに大切に過ごしていくか。


 他人事とは思えないこのアルツハイマーという不可解な病いと戦っているこの小説は、現役バリバリのお父さんに読んでいただき、ご一考願いたい。静かな感動が読み終えた後にやってきます。


7Kids-Father


荻原 浩
明日の記憶

ダブルミッション(上)、(下) 門田 泰明

久々に「こだくさんさん」の満を持しての登板です。子作りと子育ての(それと仕事の。。。)合間を縫っての投稿に感謝したいと思います。

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 主人公は東京国税局の査察官。東京地検、警視庁と連携をし巨大企業によるグループ会社の粉飾決算、不可解な資金移動を暴く。


 企業財務や銀行内部の管理、関連法規も多用しながら展開していくストーリーは精緻な取材と筆者の圧倒的な筆致で描かれている。


 警察小説は多く目にするが、黒子に徹している国税が中心の経済小説は比較的少ない。
逮捕権はないが、警察、検察と同様に捜査権を持つ国税の先鋭集団の活躍は久しぶりに読みごたえがあった。

著者: 門田 泰明
タイトル: ダブルミッション〈上〉
著者: 門田 泰明
タイトル: ダブルミッション〈下〉

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英語が使える日本人 TOEICテストスコア別英語学習法

 企業や教育機関に対して英語トレーニングを行っているICCという会社の千田潤一代表による、レベル別英語学習法紹介の書です。


 一週間ほど前に、千田さんからじきじきにお話を聴く機会があり、そのときの話に感銘を受け、この本を手にとってみました。世の中にTOEIC対策本が山ほどある中で、私が敢えてこの本を選んだのは、こういう経緯があったからです。


 千田さんの考え方は、最初のブルグ(*)で紹介した安達洋さんの考え方に非常に通じるものがあり、英語の習得も、仕事をこなすという発想で捉えていらっしゃるように思います。ビジネスマンにとっては、英語を話せるようになることが目的ではなく、「英語で仕事をする」ことがその目的であるべきで、したがって、そのアプローチが、ひとつの仕事、あるいプロジェクトを完遂する発想で取り組めばよいということが、この本の主要な主張であると思われます。


(*) http://cbohiro.ameblo.jp/entry-4c37a616ceb70f9f6b268587c81600f0.html


 従って、「英語が使える日本人」になるための7つの心構えとして、以下のようなものを上げていらっしゃいます。


1.目的と目標の確認


2.現在地(現在の実力)を知る―――TOEICを受験


3.戦略を考える―――英語の「勉強」をやめて、「トレーニング」を行う=コミュニケーションを可能にするという目的に合致する「トレーニング」法を選び、従来型のさまざまな勉強方法への「こだわり」を捨てる。


4.マインド作り:自分が英語ができないことを教材、教師、勉強方法のせいにせず、自分という学習主体がしっかりしていれば、結果は出ると信じること。「できない」ではなく「できる」と考えること。


5.環境を作る―――「英語はシャワーのように浴びるだけでモノにできる。。。」などという安易な「成功法」ではなく、中学英語教科書などを使って、しっかり読み、書き、話しの基礎力をつけた上で、多くの視聴覚教材に触れる。


6.時間を決める:なまけものの常套句「時間がない」からさよならし、トレーニングの場所を決め、時間を作る(通勤電車のなかでリスニング、トイレで英字新聞、昼休みに大学ノート1ページの音読筆写など)。目標到達期限を決める。


7.実際にトレーニングを開始する=即日、集中、継続


 英語を使えるようになるためのプロセスが、作業ベースに落とし込んであるので、実務的なことがお分かり頂けると思います。


 この本のタイトルである「TOEICスコア別学習法」も、こうした観点からきわめて具体的に、どんな教材でどんなトレーニングを行うべきか、丁寧に解説してあります。一時的なTOEIC点数のアップのための教本が多く見られるなかで、実力を確実につけるためのしっかりしたガイドとして、お勧めしたいと思いました。


著者: 千田 潤一
タイトル: 英語が使える日本人TOEICテストスコア別英語学習法―自己レベルに合ったトレーニング法



ひろしま風つけ麺 ばくだん屋

 広島出身の僕でも、長くふるさとを離れると知らないものを時々発見します。


 先日広島に帰ったとき、高校時代の友達が教えてくれたのが、ぴりから風のつけ麺。「広島じゃぁ、はぁ、スタンダードよ、知らんのんか?」と半分ばかにし気味に、半分得意げに紹介してくれました。


 そのことをふと忘れていたのですが、昨日八重洲の地下街を歩いていたら、つけ麺の店を見つけました。広島で食べた味とおなじで、Goodです。お好み焼きと同じ発想で、素材をそのまま使う、いらない手は加えないという広島人の横着さがでているメニューですが、味はなかなかのものです。通は、カラーぃものしか食べないそうですが、そこは東京へ輸出するときは、あまり辛くないのもメニューに入っています。


 オプショントッピングの半熟卵が、特に印象的でした。


 お昼の腹ごしらえに、広島的話題作りに、東京にいらっしゃる方は是非一度行ってみられては!スタッフに広島の人もいるので、広島出身の人は広島弁も通じます。これが嬉しい!


広島つけ麺


http://www.tokyoinfo.com/shop/shop/bakudan/


   



こんなぼくでも英語がしゃべれた

 著者は「あの」新庄剛志(日本ハム)のメジャーリーグ時代の通訳、そして「あの」ライブドアが野球チーム買収に乗り出した時のゼネラル・マネージャー。この彼の「ぼく流英語習得術」という趣の本だ。


 ひとりの野球小僧が、情熱の赴くままにやりたいことをやりぬいて、そこにいつも英語があった。決して英語のエリート教育を受けた訳でもない小島氏がKDDのオペレーター、アトランタ・オリンピックの野球チームの通訳(ボランティア)、横浜ベイスターズの通訳、そしてメジャーリーグに挑戦していた新庄剛志の通訳。。。と実績を積んでいく過程は、「やる気」が運命を切り拓いてくれるものだということを教えてくれる。


 個々の英語勉強方法には異論がある部分も多くあったが、彼の生き方、勘所をしっかりとつかんでいく生来の素質、そして、「望んでやろうとすれば実現できないことはない」と言っているようなメッセージがあって、元気をもらえる本でした。


 あまり知らなかった新庄選手の素顔、アメリカと日本の彼我の文化の違いなど、さまざまな彼の気づきは新鮮だったり、彼が英語の勉強のよりどころとした「ゴースト」(デミ・ムーアが出るらしい)を観て見ようかなと思わたり、面白いエッセイでもあります。


 元気にさせてくれる小島さんの人柄に触れたい人は、ご一読を!

著者: 小島 克典
タイトル: こんなぼくでも英語がしゃべれた―新庄剛志の元通訳(メジャーリーグ)


出身県でわかる人の性格

 愛国心ということばが、今いちピンとこない僕のような人でも、郷土愛というのを強くもっているように思います。スポーツのフランチャイズが定着するのも、当たり前ですが、その郷土愛ゆえでしょう?われわれひとりひとりの心にいまだに幕藩体制が根付いているとするのは、やや乱暴でしょうか?


 今日ご紹介する本は、辞書のように読める(引ける)本です。その名の通り、県民別の性格を、著者の岩中さんの独断と偏見で書いている書物ですが、なかなか興味深いものがあります。全国を足で歩き回った経歴が書かせた本とも言えます。


 ちなみに、私の出身県である広島に関するページの表題は「『仁義なき戦い』とは裏腹の何事にもクールな気質」と、クールなコメントです。私は常に県庁所在地広島は「戦い」や「やくざ」とは無縁の「平和都市広島」と公言しております。


 ちなみに裏表紙に紹介されている例を少し。


 愛知県 モノしか信用しない現物主義

 秋田県 享楽的で見栄っ張り

 高知県 病人が多く酒の飲みすぎか

 長野県 理屈っぽくって長生きする

 富山県 勤勉で持ち家比率日本一


 かの「はなわ」も、もしかしてこの本読んで、佐賀県以外のご当地ソングを書いたのかも。。。皆さんの商売のネタ本になるかも知れません。読んで楽しめる辞書として推薦します。


 岩中さん、県民性とネットワークビジネスがお得意のようです。


著者: 岩中 祥史
タイトル: 出身県でわかる人の性格―県民性の研究


   



「私は三年間老人だった」(朝日出版社) 著者:パット・ムーア(木村治美訳)

ふたたび「じゅんこさん」です。

この本の著者は、きっと私が約30年前に読んだ小説"Black Like Me"を読んだのではないかと思われます。その小説、細かい内容は忘れましたが、白人の男が数年間黒人になりきって生活した体験を書いたものでした。この本、探して読んで、読後感を入れようと思います。

CBOHIRO

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世の中には思いも寄らないことをする人がいるものだとつくづく思います。
凡人の私などは「あ~あ、ちやほやされた二十歳のころに戻りたいな~」と
舌打ちしてつぶやくのが関の山なのに、この20代の著者が考えたことは85歳の老婆に変身して社会で本物の老人として暮らすことでした。それも3年間も!!!(あ~あ、若い時って楽しくってちやほやされて、すっごい貴重なときなのにねえぇ。あ~もったいない、もったいない)。

著者のムーアの本業は、工業デザイナー。有機的な日常生活と無機的な工業製品を結ぶ職業なわけですが、老人のためにいかに社会が設計されていないか、老人という存在がいかに無視された存在であるかを体験したかった、というのが彼女の動機です。

本の中身はたいしたことがないといえばないのですが(ぱらぱらっとすぐ読めま
す)、私が感動したのはやはりこの発想力と行動力です。普通やりませんよねえ?万が一思っても。。。

間をつなぐという意味で、デザイナーの仕事と、コミュニケーションの仕事は似
ています。コミュニケーションの仕事をしている私は、対象はこう思っている筈だ、こう受け取る筈だというように、勝手に決めつけた架空の「筈」を前提に仕事を進める場合がほとんどなので、自分がやっちゃう、なっちゃうという彼女の発想力がものすごく新鮮だったのでした。

16年前に出版された本の復刻版です。
ですので、著者はもう20代ではありません、念のため。


著者: 木村 治美, パット・ムーア
タイトル: 変装―私は3年間老人だった



   

頭のいい人は質問がうまい 福田 健

「話し方研究所会長」という肩書きの話し方のプロの書いた「質問」の本です。


「頭のいい人」と「質問」とくれば、最近のベストセラーのタイトルをくっつけたみたいと思うのは、へそまがりの僕だけでしょうか?


 書店でこの本を手に取ったとき買うことにきめたのは、第3章の「話しの進め方で情報量が違ってくる」というタイトルを見たからです。


 同じ人にあっても、お客から十分な情報を取って商売に結びつけるセールスマンと、それができず売り込み文句ばかりを並べて、相手の話を聴かずに結局成果を生めないセールスマンの差が書いてあるように思いました。キーは事前の十分な準備と、答えやすい質問から入ることだとか?(これが書いてあることすべてではありません)


 もちろん、いろいろな本に書いてあるように、自分ばかりしゃべらず、聞くことの重要性も書いてありますが、一歩踏み込んで、どんな質問をどんな順序で重ねていけば良いのか、質問を使って相手を説得するなど、新たな発見も多くありました。


 ご本家斉藤孝氏の「質問力」はまだ読んでいないのですが、この本を読んで読み比べをしようかという気になりました。樋口氏の「頭の良い人の。。。」はあまり参考になりませんでした。全体のトーンがシニカルで、何かマイナスな刺激を受けたように思いました。皆さんはどうでしたか。


著者: 福田 健
タイトル: 頭のいい人は質問が上手い―「チャンスをつかめる」「本音がわかる」「情報が集まる」「必ず説得できる」
 

わが子が成功するお金教育~よい小遣い、悪い小遣い~ 榊原 節子

今日のご紹介者は某広告代理店でご活躍の「じゅんこさん」です。推薦者も増えて、このブログもブレークの前兆が。。。だったらいいけど。

この著者の榊原節子さんの職業は、「ファミリー・コンサルタント」です。
「へ~、そんな職業があるのか」って感じですが、資産家の資産運用やその継承
などをコンサルティングするお仕事ということです。

もともと榊原さんは、欧米資産家の研究家としても有名な人で、彼らがいかに
財産と文化と価値観を後世に継承しているのかを研究しています。

榊原さんいわく、

・欧米の富裕層は、働くことの大切さ(実際には労働をしていないので)を教える
ノウハウを確立していてる。そのポイントは、子供の教育の中で「達成感」の
喜びを感じさせていくことだ。

・日本も「豊かな時代の躾」が必要になっているのにスポッと抜け落ちている。
親たちの儒教的なお金に対するシャイで半端な行動が、子供たちを不幸にしている。
子供たちに、生活力をつけるためにも、欧米の富裕層に学ぶお金の教育を広めていく
必要がある。

「サバイバル術と自立意識」を身につけさせるのが、富裕層の子供に対する
お金の教育の基本なのだそうです。

富裕層の教育は、以外にオーソドックス!?

著者: 榊原 節子
タイトル: わが子が成功するお金教育-よい小遣い・悪い小遣い

「ビジネスブログ」で儲かる会社になる 岡林秀明

 「ブログって何?」といまだによくきかれます。

 でも世の中はブログの定義が広がる前に、どんどん進んでいる!


 はっきり言って定義などどうでも良いから、要はメリットを理解して、利用することなのではと思います。


 社内のイントラがないという状況もあって、メール以外の通信手段はないものかと考えたとき、自分が立ち上げ運営してきたブログを社内コミュニケーションに使えないだろうかと思い至りました。そういうタイミングで数冊の「ビジネス・ブログ」本をネットで見つけたので2冊ほど買ってみました。今日ご紹介するのはそのうちの一冊です。


 私のイメージでは、ブログのビジネス利用はいわゆる「士業」の人たちの専業のように思っていたけれども、最近ではトヨタ、ニッサンなどの大企業が積極的に利用し始めているということを教えてくれたのが今日紹介する岡林さんの本です。


 私がブログに興味があるのは、その即効性と双方向性、そして情報の公開性です。


 ウェブサイト、メルマガ、社内メールシステムなどに比べてみるとよく分かります。もちろん、これらのそれぞれにも特徴があって、ブログかウェブかという二者択一的をするより、相互補完的に使うべきだと思いますが、そのためにもブログのビジネスへの応用を真剣に検討しなければと考えさせる内容でした。


 社内コミュニケーション、それによる生産性の向上が課題だと思っている方々、ご一読をお勧めします。


著者: 岡林 秀明
タイトル: ビジネスブログで儲かる会社に変わる