森鴎外が住んでいたところ
(ご興味のある方は、写真をクリックすると拡大され、読めます)
2日に友人が水月ホテル鴎外荘というホテル/レストランに招待してくれました。
料理は割烹でしたが、今日のトピックスは食事をした部屋です。
レストランの一部は、森鴎外がドイツからの帰国後数年間住んでいた旧宅(2002年に復元されたそうです)で、「舞姫」という有名な小説を書き、分断へのデビューを果たしたとのことです。
食事した部屋には、舞姫に関する額が掛けてあり、何か少し厳粛な印象です。話題もいろいろ広がりそうで、たまには、こういうところでの食事も良いのかなと。。。。
部屋は、小宴会だと10人位まで行けそうで、今度何かの機会に使ってみようかなと思います。
上野の喧騒から少し離れて、不忍池のほとりで、落ち着いた感じのところで、気に入りました。
料理もいろいろあるようですよ!
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四○歳からの勉強法 三輪 裕範著
- 三輪 裕範
- 四〇歳からの勉強法
成長し続けたいビジネスマンのための勉強法指南の本です。
著者の三輪裕範(みわ・やすのり)さんは、伊藤忠商事の調査室長、ハーバード大学でMBAを取られているという意味では、エリートサラリーマンの典型です。私などは、この経歴を見たあたりで引いてしまいそうでした。
が、読んでみると、この本は成長意欲のあるビジネスマンには、誠に実用的な指南書になっています。これをやってこられたからこそ、三輪さんがエリートなんだろうと思いましたが、エリートでない、私、あなたにも、伸びたいという意欲がある限り、きっと役に立つ本です。
ビジネスマンでありながら、あるテーマを持って勉強する時に遭遇するさまざまな課題に、三輪さんがどのように取り組んで来られたかが、平易に解説してありますし、ビジネスの現場での経験から出た血の通ったアドバイスにあふれています。
まず、第1章は「どうやって時間を作り出すか」。
勉強をしたいと思うビジネスマンが、必ず向き合う課題です。
以前ご紹介した松山真之介さんと同様、三輪さんも基本的には早起きを実行されているようで、この効用を強く説いていらっしゃいます。
これに加えて、通勤時間、細切れ時間の使い方の解説や、「酒、新聞、テレビとの付き合い方」などという人間くさいコメントもあり、ビジネスマンとしての生活臭も漂って、好感が持てました。
おもしろかったのは、第2章「よい本はこうして選ぶ」での書評に対するコメントです。いわく、日本の新聞の書評欄は、学者の仲間内の「ヨイショ」の交換で、あまり一般読者の参考にならないものが多い。むしろ、アマゾンなどの素人のコメントの方が良い部分が多いとの指摘。
これに対し、欧米の新聞の書評は、厳しく書くべきは書き、褒めるべきは褒め、実際に読者の良いガイドになると。。。
ただ、この書評に部分や、新聞・雑誌の読み方(第3章)、英語上達法(第4章)あたりになると、大いに同意できる部分もたくさんありましたが、仕事柄、海外の新聞、雑誌に多く接している人(三輪さんは、業務上アメリカ政治を常にフォローする仕事をされており、米国を中心に海外へのご出張も多いようです)でないと書けないなぁと思わせる部分がかなり多くなったいます。
やや一般ビジネスマンの世界から乖離しているかなと、少し違和感も感じました。
しかし、総じて言うと、勉強意欲をかきたてられる好著だと思います。
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技術英文の書き方 片岡英樹著
- 片岡 英樹
- 必携技術英文の書き方55のルール
著者自身に強く勧められてこの本を読みました。
いろいろなノウハウについて書かれた本は山ほどありますが、その有用性のひとつの基準は、仕事をする上で必要だからその本を机の上に置いておこうと思うかということではないでしょうか?
この基準で見ると、この本は私には有用な本です。
英語を学ぶ上で、日本人に一番指針に欠けているのは書くことについてではないでしょうか?私自身も一番自信がありません。
この本を読んで、「そうだったのか、こういうことを教えてくれる人がいて良かった」と思う部分がほとんど毎ページにありました。例えば、英語の名詞の複数表記。
■数が1もしくは1より小さい数の場合は単数扱いで、それに続く計量単位は単数形で書く。その反対に1より大きい数は、複数(plural)扱いである。(同書34ページ)
こんなことも、自分で確かめたことがなく、誰も教えてくれなかったように思います。ネイティブにきいたら解決するというものでもないように思います。
文章として残るものをかっちり書くということの重要性はいろいろあるのではないでしょうか?
書いたものがしっかりしていれば、相手の見る目も変わってくる。 「外国人だから。。。」と甘える手もあるけれでも、「外国人なのにこんなにしっかり書いている」と思われれば、すばらしい評価を受けることは間違いないと思います。
この本は、こういうすばらしい評価を受けるための虎の巻としては、素晴らしいものだと思います。
ちなみに、この本は、英語でけでなく、日本語の文章を書くときのヒントがあります。片岡さんがコミュニケーションのOSと呼んでいらっしゃる「レトリック(修辞)」についても力説されています。この書評は、そのレトリックからすると、多分落第でしょう。
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江戸が息づく古典落語50席
- 柳家 権太楼
- 江戸が息づく古典落語50席
ごくたまに鈴本演芸場に落語を聴きに行きます。
権太楼さんは、何回か聴きましたが表情とか間の取り方が独特で、、いっぺんに印象に残る噺家のひとりです。
この本は、落語の初心者である私のようなものに、ちょっとだけ「えらそうに」振舞えるよう配慮して書かれた本です。
ちょうど50の古典落語を選び、それぞれについて「梗概」「権太楼のご案内」「落語通ぶれるお役立ち薀蓄」という三本立てで、頭にスーッと入ってくる解説です。
ふだんあまり話題に上らない上方落語と江戸の落語のつながり、柳家、三遊亭、林家など、流派(一門
)ごとに同じ噺が別の題名で語られること、もともとの噺が、複数の噺に派生したこと。。。少しだけ、落語通になった気分にしてくれる、そういった心地良い読後感があります。
しかし、なまじっかな経験で「薀蓄」をパクってしゃべると怪我をしそうな気がします。気をつけて下さい。
権太楼師匠がきけます (残念ながら要検索)
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通訳の技術 小松達也著
- 小松 達也
- 通訳の技術
同時通訳界の大御所のひとり小松達也先生の最新著です。
通訳技術に関わる著書は多く出ており、通訳訓練のために使われてきたさまざまな技法が、特に通訳を目指すわけではないが英語はうまくなりたいという人たちのためにも有効であるとの情報が多くもたらされています。「シャドウィング」などはその典型ではないでしょうか?
しかし、パイオニアとしてそうした技法を開発されてきた人が書いた本には、そうしたさまざまな技法のメリット、デメリットを冷静に比較した記述があり、興味深いものがあります。
また、開発の過程で小松さんたち先達が参考にしてこられた欧米での通訳養成法、技術論なども、日本での通訳養成という特定の環境を考えた場合に、参考になるもの、ならないものがあり、日本独特のやり方が出来てきた。。。そうした解説もあり、「なるほど!」マーク一杯でした。
欧米系のことばでは、ことばの並び方がほとんど同じであることが多いので、頭から短い意味単位で訳出することが可能だが、日本語にする場合は、語順の違いのために、訳出の意味単位が長くなり、このことが訳出法の違いを生むとのことです。
もうひとつ。
逐語訳が通訳の基本であり、筑後通訳がマスターできれば同時通訳のマスターは近いという趣旨の説明があり、いつかは同時通訳をマスターしたいと考えている私にはgood newsでした。
英語に興味のある方、初心者から専門家まで参考になる本だと思います。
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外国人力士はなぜ日本語がうまいのか 宮崎 里司氏
宮崎先生は、早稲田で留学生に日本語を教えていらっっしゃるようです。
自らのオーストラリアでの英語学習と、外国人力士の日本語力の伸びを比較して、どうして彼らはこんなに長足の日本語の進歩を見せるのか、という疑問を持ち、多くの力士や彼らを取り巻く人たちへのインタビューを通して、その理由を分析していくという本です。
常々私も同じ疑問を持っていましたが、まさかそれを研究材料にされた方がいたとは驚きです。
ひとことでいって、この本は秀逸です!
外国語学習のひとつの手段であるイマージョン学習法が想定している理想的な環境を相撲取りの日本語学習環境が適合しているというのが結論のようですが、これを解き明かすプロセスで、旭天鵬、曙、小錦、朝青龍(まだ十両時代)の相撲への姿勢、人柄などなどが自然と浮かび上がってくるドキュメントの側面もあり、外国語学習のヒント集、ドキュメンタリーとしてもおもしろく読める好著だと思います。
日本語の上達と相撲の力量に相関があるという点は、大変興味深い点です。
英語に関心のない方も是非どうぞ。
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ドラゴン桜 7
- 三田 紀房
- ドラゴン桜 (7)
全巻通しで読むのも良いけれど、この巻だけ読んでもいくつか参考になることがありました。
別の場所でも書いたんですが、文字媒体(普通の書籍)でいろんなところに書いてあるはずのことが、マンガになると人気が出るし、確かに読みやすい。。。この事実は、コミュニケーションを考える人間にはよく見つめるべきことではないでしょうか?
この巻にも、メモリーツリーという記憶の手法が出来いて、ものを覚えるのに、他のことと関連つけて覚えること、図のうえで色や絵を使ってアクセントをつけることが有効だと教えてくれる。会社でのプレゼンにも応用できる考え方です。
メモリーツリーは文章を書くときにも使える。
全体像と個々の部分を関連付けて俯瞰できるから、わかりやすい文章をつくるのに確かに役立つはずだ。
もちろん本を書くのにも役立つ。
巻末近くのホリエモンのコメントもおもしろいです。
ドラゴン桜、はまってます!
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実学入門 儲けるための会計 田中 靖浩著
今日は会計士の方の本の紹介です。
田中さんの本は、以前「経営が見える会計」を読み、その平易な語り口(ほとんど口語)でかなりレベルの高いことを教えて頂いているという感覚があって、感心した記憶があります。
この「儲けるための会計」で印象的なのは、経営者は「会社を儲けさせるためのプロ」であるということを改めて知らしめる内容になっていることです。
そのために、会計的な知識、もっと具体的には「変動費と固定費」、その比率によって企業の儲ける体質がかなりちがうこと、ROEやROI、NPVやDCFなど、経営者にとって必須な経営のツールが会計によって与えられるということがよく分かります。
一方、田中さんは同時に財務会計の限界をも示し、管理会計の重要さを説いています。上に述べたようなさまざまな指標も管理会計のツールです。
先日紹介した「さおだけ屋。。。」もそうですが、ビジネスマンとして会計知識を身に付けることの重要性は、専門家が平易なことばでしっかり説いて頂くことは、本当に有意義なことだと思いました。
田中さんの3部作、「経営の分かる」(読み直し)、「不景気に効く会計」(新規)のシリーズを読むことを自分に課そうと思いました。
最後に、本書のあとがき(「おわりに」)から、印象に残ったことばを引用して終わります。
「最近の日本企業を見るにつけ、私はだんだん心配になってきました。
流行に振り回されてやみくもにコンプライアンス(法令遵守)に力を入れ、情報公開やIRに取り組んでいるとアピールするだけで満足している会社の多いこと多いこと・・・・・。
それらが大切なのは言うまでもありませんが、その前にやらなきゃいけないことがあるんじゃないのか?ずっとそう思っていました。---まず最初に取り組むべきこと、それは会社の儲ける力をもっともっと強くすることです。儲かる会社をつくる、それが管理会計=マネジメント・アカウンティングの目的です。本書のタイトルを『儲けるための会計』としたのもそんな重いからです。」
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人生最高の失敗 田中 耕一著
- 田中 耕一
- 生涯最高の失敗
ノーベル賞受賞者の田中耕一さんに「生涯最高の失敗」という著書があります。
その中で氏は、ある学会で外国の権威が話した内容が間違っていたため、それを正したくて必死にその権威に英語で話をしたと書いています。普段は英語をしゃべるのが苦手で、かつ「上がり症」の氏が、学問上のちゃんとした議論をその場でやりたいという熱情から、英語で訴えかけたということのようです。
英語の上達というより、英語でしゃべることができる条件の第一は、こうした「自分を伝えたい」という強い願望にあるのではないでしょうか。
同じ本の中で、氏は、ある先生からさかんに「英語で論文を書け」といわれ、半ばしぶしぶそうしたことが、ノーベル賞につながったとも書いています。つまり、日本語で書いた彼の研究成果が国内では誰にも認められず、英語で書かれた論文を見て、海外の研究者たちが先に彼の業績を認めたという皮肉な展開についても言及していて、なかなか面白い本でした。ご一読をお勧めします。
(個人的には知り合いではないけれど、同じ大学の後輩なので、応援したいと思います)
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