「御社の営業がダメな理由」 藤本篤志著
- 藤本 篤志
- 御社の営業がダメな理由
先月に続き、「みのむし」さんから投稿頂きました。センスって先天的なものなんでしょうか?
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著者の藤本さんは、元々作曲家志望で会社勤めをする気などさらさらなく、大学卒業時の就職活動も一切しなかったそうです。そういう人がなぜこの本を書くに至ったか、というのは読んでのお楽しみで・・・・。
考えさせられたのは、営業能力には先天的な「センス」と後天的な「知識」があり、前者は決して教えられるものではない、ということでした。
私が(別の分野ですが)人に物を教えている時も、やはり教わる側のセンスの有無を感じることがあります。お金をもらっている仕事(サービス業)ですから、センスのない人に「あなたには向いていないから、やめた方がいいですよ」とは言えません(それは詐欺行為だと言う人もいるのですが)。また、最初それほど
センスがあるように思えなかった人が、ある日上達しているのに気づく、ということはよくあります。
また人の能力、価値観や目指す目標は多種多様で、誰もがトップセールスマンになれる訳ではないし、その資質がない人が無理に目指す必要もないでしょう。そこで著者は、現実的な解決策として、生まれつき営業能力に恵まれた2割の営業マンを採用するのではなく、標準的な能力を持った6割の人をどう生かせば売上が上がるのか、という具体的な方法論を展開しています。その例として、営業日報や営業マネージャーのノルマの廃止を挙げています。
営業の仕事をしていない私でも、自分を含めて、能力開発や人材育成の点から興味を持って読むことができましたので、お勧めします。
そんな言い方ないだろう
っていうのは、梶原しげるさんの本の名前。この人の本、「老会話」に続いて、この本を読んでいますが、おもしろい。
その梶原さんが、おもしろい例として取り上げていたのが、私の好きな東海林さだおの4コママンガ。まぁ、読んでみんさい!
「東海林さだおさんの人気漫画「タンマ君」にこんなエピソードがありました(週刊文春2005年1月20日号)。
部下の武勇伝をきいて「つまりそこでキミが一矢(いちや)を報いてやったわけだ」と得意げに言う上司。もちろん、イチヤではなくイッシです。
言われた部下は上司の言い間違いを指摘したくてももじもじ。周りのほかの社員も事態の成り行きに注目する。ああいうとき、部下の身分で、まちがってるなんていえないもん。そのまま見逃すんだろうな、と高をくくっていたら、やおらその部下が勇気を奮って「はなはだ申しあげにくいことなんですが」と上司に間違いを告げる。
緊迫した空気の中、部下はこう言います。
「その場合の一矢(いちや)は、一矢(ひとや)と読むのが正しいんじゃないでしょうか」
すると上司が「あ、そうなの」と素直に納得。その様子を見た周りの社員がずっこけると。。。」
こんな笑えそうで笑えないエピソードをまじえ、かつ、間違いを犯すわれわれに、「うん、そういう間違いってしやすいよね」とあたたかくアドバイスしてくれる一冊です。
そういえば、昔私の上司が「思惑」を「シワク」と読んでいたのを指摘できないまま、15年も経ってしまいました。あの人、まだ「シワク」って言ってるのかな?
- 梶原 しげる
- そんな言い方ないだろう
夢を叶える夢を見た 内館牧子著
- 内館 牧子
- 夢を叶える夢を見た
初登場、「みのむし」さんから投稿頂きました。
そういえば、内館さんは、相撲通で、横綱審議委員会の委員ですよね。時々テレビ中継に写ってます。
それと、内館さんが、東北大相撲部の指導をされている様子は、テレビに出てました。東北大は私の母校ですが、相撲部ってどこにあったっけ?
『私がこれまでに読んだ中で、最も影響を受けた本の一つです。今でもよく読み返しています。
著者の内館牧子さんは、元大企業OLで、脚本家に転身したそうです(代表作:NHK朝ドラ「ひらり」など)。
この本は、彼女自身の物語ではなく、むしろ彼女の知人を取材して、(会社勤めを辞めて夢に向かって)「飛んだ人」「飛ばなかった人」それぞれに膨大な時間を費やし、取材して書かれたものです。
よくある「人生一度きりだから、思い切って自分の夢に向かって飛ぼう」などという無責任な楽観論を期待すると、見事に裏切られます。人生に絶対確実という保証がない限り、どのような選択をしようと、成功する人と失敗する人の両方が必ずいます。その厳しい現実から目をそらさず、光と影の「影」にもしっかり切
り込んでいるところが、この本の説得力がある所以でしょう。
私は新刊で読みましたが、1年くらい前に文庫になったようです。
あとがきには、本書に登場する人の「その後」も少し書かれていました。内館さんの「その後」は東北大大学院で学び、相撲部(部員4人)の監督(!)になったそうです。』
もうひとつの江夏の21球
以前「捕手論」という本の評 を書きました。それがきっかけで、ある方と知り合いになりました。
また、本を読んで著者のところに訪ねて行ったりすることも、昨年辺りからたまにするようになりました。
本というものが、人とのつながりを作ってくれる。。。そのきっかけは、やはりその内容に対する共感や感動です。この人のナマの声を聴きたい、という欲求が起こってきます。
この本の著者にも興味を覚えました。
読むきっかけは、どこで見たか記憶にない「もうひとつの江夏の21球」というタイトル。このテーマは、なくなった作家の山際淳司氏が書いた本で紹介して有名になりました。カープファンである私としては、必読書。そして「捕手論」。
この本自体は、タイトルから期待できるほど、1979年の日本シリーズ最終戦について多くのページを割いていませんが、あのシリーズに対する近鉄ファンの思い、著者である佐野さんの西本監督との思い出、近鉄V1戦士との思い出など、人間味あるれる内容でした。「江夏の21球」は実は「水沼の21球」であり、あのウエストボールにバットを当てられなかった「石渡の21球」だったんだな、と野球ファンならではの記述があり、読んでいて心地良かったです。
同時に、初めてカープが日本一になった1979年のことも思い出させてくれました。
野球選手にとって、野球人生の中のたった一球が人生を決めることもある、というドラマも感じさせてくれる本です。
この本を読むと、なぜ札幌出身の佐野さんが、近鉄ファンになったか、近鉄なき後、佐野さんはどうされているのかという興味をそそります。その答が、佐野さんのHP(プロフィールページ) にありました。
是非お会いしてみたいと思います。
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盾(シールド)
- 村上 龍, はまの ゆか
- シールド(盾)
小学校の時の幼馴染キジマとコジマが、近所に住む不思議な老人(「名なしの老人」)から「からだの中心にあるやわらかいもの」の存在と、それを守るために「盾(シールド)」が必要だと教わります。
この「やわらかい」ものと、「盾(シールド)」を探求しつつ人生を歩む二人。
順調に見えたキジマの人生、不幸に見えたコジマの人生。このふたつの人生が折り返しを迎えるとき、ふたりは「盾」が何であったかを覚る。
そして、長い長い時間を経た後の再会。
自分の中の「やわらかいもの」はどんな今どんな状態なのだろうか、自分にとっての「盾(シールド)」は何だろうか?
短い絵本が人生を振り返るきっかけになることもあるんですね。
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EQ コーチングのスキル
- 上村 光弼, 松下 信武
- EQコーチングのスキル―感情と行動に働きかける
私はコーチングとものを体系的に学んだわけではありませんが、コーチは「コーチを受ける者の中に答がある」という信念のもとに、コーチを受ける者が自ら答を引き出し、パフォーマンスを上げるアクションを進んで取ることを助けるべきであるということが、コーチングの本質であるという説明を受けたことがあります。
そのための方法として「傾聴のスキル」や「質問のスキル」がある、ということも。
しかし、この本が指摘しているのは、スキルが活きて、コーチングがその成果を上げるためには、そうしたスキルがあることが助けにはなるが、コーチを受ける者がコーチに対する信頼を持っていない場合には、そのようなスキルは全く意味をなさないということ。 「信頼のないところではスキルは役に立たない」と。
考えてみれば当たり前のようですが、私たちが往々にして陥りがちな「スキルの罠」をするどく指摘し、コーチをし、コーチを受けるときに、出発点は信頼なのだということを思い出すことは大切だと、改めて思い出させてくれたのが、この本です。
また、元気付けられたのは、自分が目標を持って前進しようという姿勢を持たない者が、コーチとして他者を成長させることはできないということ。
自らも生涯成長し、できれば他者を成長させる者でありたいと強く思いました。
コーチングでの伸び悩みを感じている人を主なターゲットとして書かれていますが、良い上司でありたい、良いチームメンバーでありたいと願うすべての人にお勧めです。
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「できる人」の聞き方&質問テクニック
箱田さんの話し方の本は読んだことがあります。
非常に具体的で分かりやすい内容で、流石かつてエステ・ローダーの営業部長をつとめられた営業のプロだなあと感心した記憶があります。
現在、できる私自身も「できる営業マン」のノウハウをまとめようとしており、参考書を買い込もうと行った神田の三省堂で手に入れたのが、今日ご紹介する本です。
箱田さん曰く、話し方に関する本もセミナーもたくさんあるが、聞き方に絞ったものはあまりない。そちらの方が本当は大切なのに。。。
最近は「質問力」などというタイトルで、聞き方についての本は、そこそこ出ているように思いますが、確かに「聞き方」に絞ったセミナーは少ないかも知れません。
いつも、聞き方、質問の仕方に関する本を読むと思うのですが、聞くと言うのは、話すよりずっとむずかしいということを思い知ります。また、同じ体験をしましたが、この本で、でもトライする価値は十分あるなと確信しました。
営業云々を超えて、人間関係を良くする技術として、この本を読んで、聞く事の重要性を認識し、一緒に実践しませんか?
藤巻幸夫のつかみ 瞬時に相手の心をつかむ会話のコツ 藤巻幸夫著
藤巻さんは藤巻兄弟の弟で、かつて伊勢丹でカリスマバイヤーとよばれ、そして福助の再建に力をふるい、さらに現在はイトーヨーカドーへ。
お兄さんの本も何冊か読んで、茶目っ気のある人だなと思いましたが、弟さんはこの本を読む限り、お兄さん以上に非常に愉快で、人を引き付ける人だと思いました。
この本、表紙が良いです。今や有名な藤巻さんの坊主頭にひげの顔を実にうまく描いたイラストが表紙に載っていて、かれの書いた本だとすぐ分かるし、写真よりも親しみが持てると感じました。
全体を通して流れるメッセージは「自分を語れ」ということのように思われます。藤巻さんの表現によると「会話のまん中に「アイ・アム」がある」だし、「沈黙は金より雄弁は銀」だったりします。
最後の方で彼が言っている「逃げるな、語れ!すべてはそこから始まる」も同じことを言っていますが、素敵なことばだと思います。
自分が会話に対して気を使い、訓練してきた藤巻さんは、準備の足りないインタビュアや部下には厳しい。いつか、彼にインタビューをさせてもらって、インタビュアとしての評価ももらいたいし、すばらしいメッセージを多くの人に伝えたいと思わせる、分かりやすくて感動のある本でした。
そういえば、最近某所から藤巻さんの講演の案内があり、躊躇しているうちに行かずじまいになりました。後悔していますが、次回機会を見つけて是非と思わせる、そんな本でもありました。
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働く女性の24時間―女と仕事のステキな関係 野村浩子著
- 野村 浩子
- 働く女性の24時間―女と仕事のステキな関係
最近、女性マーケットについて調査をする機会があり、働く女性の生活観、仕事感、金銭観などに関心を持つようになりました。(今ごろ関心を持ち始めても遅いか?!)
データで見ても男女とも晩婚化が進んでいる、離婚が増える一方で再婚も珍しくなくなってきている。労働市場では、女性の地位が、少しずつではあるが向上している一方、中高年女性はパート労働者としてかならずしも厚遇されていない職場に多く進出している。
こんなデータの反映を、この本にも読むことができました。
著者は元気の良い雑誌「日経ウーマン」の副編集長。日経ウーマンで行った調査のデータなどもまじえながら著者自身の経験も含めた「働く女性の姿」を勉強できる好著でした。
その中で、なるほどと思ったのは、結婚したり同棲したりしても、自分の時間をしっかり持ちたいと考えている女性が非常に多いこと。これは、男性も感じているように思います。昔ながらの用語でいうと、男も女も自我が確立してきたということなのかも知れませんが、一緒にいることから得る安心感、安堵感も必要だけど、自己投資したり、パートナー以外の相談相手との対話時間(それが多くの人には読書かもしれません)も絶対に必要と感じる人が多くなっているということ。自分自身を考えても納得でした。
また、女性が望むパートナー像として上げられていた「ヤギ男」と「トラ男」も印象に残りました。今求められているのは、「俺について来い!」方のトラ君ではなく、女性が働くことを自然に受け止め、家事も進んで分担するヤギ君の方が圧倒的に女性の支持を得ているとか。。。。いわく「トラ男」は絶滅寸前
この他時代を写す数々のことば、海外の例(スウェーデンのサンボやアメリカでの代理母による出産など)も将来の日本、今の日本を考えるよいヒントになりました。
男も読むべき女の本です。